【CFO連絡協議会レポート】監査視点で語る会計リスク対応と不正事例で学ぶ注意点

【CFO連絡協議会レポート】監査視点で語る会計リスク対応と不正事例で学ぶ注意点

CFO連絡協議会は、AGSが事務局を務め、財務のプロフェッショナルが参加するコミュニティです。2026年9月15日開催の定例会は、監査法人から2名の講師が登壇し、目まぐるしく変化する規制や会計基準の動向を踏まえた対応を解説いただきました。参加者からは「監査人ならではのシビアな視点を学び、リスクの可視化や内部統制の強化につながるヒントを得た」との声がありました。本記事では、定例会の様子をお伝えします。

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開催概要:第130回CFO連絡協議会

日時2026年9月15日(火)
参加人数26名
場所東京都内
内容・第1部:講義

『監査法人から見た最新トピックス~上場準備会社のトレンド・法改正のトレンド・最近の不祥事事例に学ぶ注意点~』

・第2部:近況報告

監査法人の視点:CFOが押さえるべき実務論点と不正対策

第1部では、次世代を担うスタートアップへの監査実績が豊富なESネクスト有限責任監査法人様より、外部講師として2名に登壇いただきました。最新のIPOトレンドから実務で直面する重要会計論点、不祥事事例に学ぶガバナンスの注意点まで、CFOが今まさに押さえるべき実務知見を詳しくご紹介いただきました。
※講演内容は2026年9月時点の情報に基づくものです。

新リース会計基準など実務で直面する重要論点

相次ぐ大型会計不祥事や東証の市場改革、透明性を重視する投資家からの要請など、昨今の監査を取り巻く環境は厳しさを増しています。講義では、とりわけ上場準備会社が実務で直面する重要会計論点について説明がありました。従来から指摘されている「収益認識」「自社利用ソフトウェア」「原価計算」「固定資産減損」「税効果会計」といった項目に加え、新たに注意すべき項目として以下の3つを指摘しました。

項目会計・税務上のポイント実務上の留意事項
ストックオプション税務上の評価(1株あたり純資産価額など)と、会計上の評価(DCF法などによる公正価値)との間に乖離が生じることがある評価の差額は従業員へ労働対価とみなされ、 株式報酬費用がPLに計上されるリスクがある。事前の対策が必要
ベンチャーデット新株予約権付融資等の複合金融商品について、新株予約権と借入金本体を切り離す区分処理が求められる新株予約権の分離に伴う区分処理に加え、支払利息などがPLに与える影響のシミュレーションが欠かせない
新リース会計基準の適用オフィス賃貸や店舗などについて、原則としてすべてのリース取引を資産・負債の両建てとするオンバランス化が必要店舗・オフィスのオンバランス化による財務指標への影響やコベナンツ抵触リスクを確認し、早期に備える必要がある

特に新リース会計基準は、2027年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用され、時期が迫っています。注意点として、業績悪化時には使用権資産の減損リスクが生じ、減損損失の計上を通じて利益剰余金に影響する可能性があるといいます。講師からは「金融機関とのコベナンツへの抵触リスクも含め、社内の業務プロセス構築と影響調査をすぐ始めるべきだ」との助言がありました。

循環取引による不正多発。監査法人との丁寧なコミュニケーションを

循環取引による不正多発。監査法人との丁寧なコミュニケーションを

IPO関連の会計不正において、最も頻発しているのが売上高の過大計上です。典型的なのは循環取引で、複数の企業間で商品の転売を繰り返し、実態のない売上を架空計上する手法です。さらに講義では、新規上場前後に発生しやすい会計不正への対応策として以下の4点を挙げました。

  • 会計不正事例を踏まえた不正リスク対応
  • 不正リスクに関する情報収集・連携
  • 上場準備会社役員に対する啓発などの取り組み
  • 不正リスクに関する審査・監査能力向上

その具体的な不祥事・リスク事例として、活発な市場が存在しない暗号資産について客観的な算定根拠がないまま時価評価した事例や、経理部長が特殊詐欺に引っかかり焦って対応した結果、11億円超の資金流出を招いた例などが紹介されました。講師は「経理担当者は一人で頑張ろうとする気質の人が多いので、単独完結させない業務フロー設計が重要になる」と指摘しました。

複雑化する規制や会計ルールに対応し不適切事案を防ぐためには、監査法人との丁寧なコミュニケーションが欠かせないといいます。「CFOなどの経営層は、ビジネスの実態や課題について日頃から密接にコミュニケーションをとり、論点を早期に共有・議論していく姿勢が何より求められる」と述べ、講義を締めくくりました。

近況報告:資金調達から労務管理まで幅広い本音の共有

近況報告は、参加者一人ひとりが自社の成功事例やCFOならではの悩みを語り合い、課題解決の実践的なヒントを得る場です。

今回から新たに加わった会員の自己紹介を含め、真剣かつ和やかな雰囲気で進行しました。途中から軽食や飲み物が配られ、前回にも増して本音で議論する場面が目立ちました。主なトピックは以下のとおりです。

近況報告:資金調達から労務管理まで幅広い本音の共有

生成AIによる業務効率化

前回の定例会でも取り上げた生成AIについては、今回の近況報告でも多くの会員から言及がありました。ある事例では、複数のAIエージェントを稼働させ、業務の工数を半分以下に削減したことが紹介されました。一次情報の整理をAIに委ね、人間は最終的な「経営判断」に集中する体制を構築することが重要だといいます。「人件費が浮けば、営業職の給与引き上げや採用競争力の強化に転換できる」といった成長原資への戦略的再配分も語られました。

金利上昇局面における資金調達

金利の上昇局面において、CFOは資金調達と株主対応の極めてシビアな舵取りを迫られています。金融機関からの数億円を借り入れた際に、数年前では考えられなかった高水準の金利での調達事例も報告されました。既存融資の借り換えにおいて、いかに財務規律を維持するかが問われています。

顕在化する労務リスクとガバナンス構築

元従業員からの未払い残業代請求といったリアルな労務問題もシェアされました。「労務問題は、企業のイメージや業績に大きく影響する」との危機感に基づき、リスクを顕在化させないためのガバナンス構築について議論が交わされました。「財務数値には直接表れにくい、組織の質という観点が、上場の成否や企業価値を決定づけるフェーズに入っている」との意見には賛同する声が多数ありました。

顕在化する労務リスクとガバナンス構築

その他の主なトピックは以下のとおりです。

  • 業務に使用するサブスクアカウントの価格が高騰。社長にどう説明するか
  • 展示会出展の費用対効果を検証。ブース設計にも思わぬ落とし穴
  • 障害者の完全在宅雇用を実現させる組織設計の秘訣
  • 時価総額を上げるのに最も有効だった方法とは
  • メリハリある評価制度を導入。制度改正への思いがけない社内反応とは

次回開催は11月26日(木)。新規会員募集を継続中

今回新たな試みとして、お食事を交えながら定例会を開催しました。移動して懇親会を開く従来形式より、開始時間を遅らせることができ「参加しやすくなった」との声をいただいております。次回の定例会は11月26日(木)で、年内最後の開催です。
CFO連絡協議会は、より実践的なネットワークとするためのリニューアルと並行して、新たな会員様を募集しております。ぜひ、興味を持たれた方はこちらからお問い合わせください。

 

監修者

  • AGSmedia編集部

    株式会社AGSコンサルティング

    AGSmedia編集部

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