【2025年】大規模成長投資補助金とは?3次公募スケジュールや採択率などを解説

【2025年】大規模成長投資補助金とは?3次公募スケジュールや採択率などを解説

「大規模成長投資補助金」とは、どのような補助金か解説しています。3次公募の公募要領やスケジュール、2024年度(1次公募、2次公募)の採択率に関しても紹介しています。審査の流れやポイントも解説していますので、「大規模成長投資補助金」について調べている方は参考にしてください。

 

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大規模成長投資補助金とは

大規模成長投資補助金とは

大規模成長投資補助金は、中堅・中小企業の設備投資を支援する補助金です。成長を目指す企業の大規模投資を促進し、地方における持続的な賃上げを狙いとしています。

補助上限50億円という金額は、国の補助金としては最大規模です。生産ラインの一新や工場の建設など、大規模な投資を検討する企業にうってつけの補助金といえるでしょう。

大規模成長投資補助金は、例えば以下のような取り組みに活用できます。

  • 工場や倉庫、販売拠点などの新設や増築
  • 最先端の機械や省力化できる設備の購入
  • ソフトウェアの購入や情報システムの構築

2024年に創設され、同年中に2回の公募が行われました。2025年も前年と同様、2回の公募が予定されています。

大規模成長投資補助金の概要(公募要領)

対象 

区分 

中堅・中小企業 

常時使用従業員数:2,000人以下 

補助金 

通常上限 

50億円 

通常補助率 

1/3 

設備投資等 

必要投資額 

10億円以上 

補助事業期間 

交付決定日から最長で2027年12月末まで 

補助対象経費 

建物費、機械装置費、ソフトウェア費、

外注費、専門家経費 

賃金要件 

給与支給額や賃上げ 

事業終了後3年間の従業員等1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が4.5%以上 

最低賃金 

 

期間 

公募要領公開 

2025年3月 

公募期間 

2025年3月10日~4月28日17時 

規模 

予算 

3,000億円 

補助件数等 

第1~2回実績 

194社 

事業計画書 

35ページ以内 

その他 

賃上げ目標の未達率に応じて補助金返還要件あり 

出典:経産省「大規模成長投資補助金 公募要領(3次公募)」

大規模成長投資補助金(3次公募)のスケジュール

大規模成長投資補助金は、2025年に第3回と第4回の公募が予定されています。そのうち、直近の第3回公募のスケジュールは以下のとおりです。

2025年1月 

 –

2月 

公募の概要公表 

3月 

公募開始 

4月 

公募締切 

5月 

 

6月 

採択発表 

7月 

順次、交付決定(ここから設備投資開始) 

8月 

9月 

10月 

11月 

12月 

202712 

設備投資の期限 

大規模成長投資補助金の補助対象者と対象要件

大規模成長投資補助金の補助対象者と対象要件

大規模成長投資補助金では、補助金を受け取れる対象者や、補助対象となる経費などが細かく規定されています。申請する前に、自社が該当するかどうか、しっかり確認しましょう。

ここでは、補助対象者や補助対象要件を詳しく説明します。

補助対象者(応募要件)

大規模成長投資補助金の対象となるのは、日本国内に本社および補助事業の実施場所を持つ、常時使用する従業員数が2,000人以下の会社または個人です。

また、以下の条件を満たせば、複数の事業者による「コンソーシアム形式」での共同申請も認められます。

  • 投資額5億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)の中堅・中小企業を少なくとも1者以上含むこと
  • コンソーシアムを構成する事業者が幹事企業を含めて10者以下であること
  • 連携による一体的な大規模投資を行い、単独より高い労働生産性向上・規模拡大を通じた賃上げを実現する連携計画を策定していること
  • 参加者が賃上げの要件を満たしていること

さらに、以下の法人も、補助金の政策目的にかなう収益事業であれば、対象となる可能性があります。補助対象に該当するかは、事務局に問い合わせて確認するとよいでしょう。

  1. 企業組合
  2. 協業組合
  3. 事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
  4. 商工組合・連合会
  5. 水産加工業協同組合・連合会
  6. 技術研究組合
  7. 商店街振興組合・連合会
  8. 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
  9. 酒造組合・連合会・中央会
  10. 酒販組合・連合会・中央会
  11. 内航海運組合・連合会
  12. 法人税法別表第2に該当する者(一般財団法人、一般社団法人、社会福祉法人など)
  13. 農事組合法人
  14. 労働者共同組合
  15. 法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人(特定非営利活動法人(NPO法人)等)

大規模成長投資補助金の対象にならない者

中堅・中小企業を対象とした補助金のため、常時使用する従業員数2,000人を超える大企業は該当しません。

さらに、常時使用する従業員数が2,000人以下であっても、以下のいずれかを満たす場合は「みなし大企業」として、補助金の対象から外れます。

  1. 発行済株式の総数または出資金額の2分の1以上が同一の大企業(外国法人含む)の所有に属している法人
  2. 発行済株式の総数または出資金額の3分の2以上が複数の大企業(外国法人含む)の所有に属している法人
  3. 大企業(外国法人含む)の役員または職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている法人
  4. 発行済株式の総数または出資金額の総額が1~3に該当する法人の所有に属している法人
  5. 1~3に該当する法人の役員または職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている法人

その他、政策目的にそぐわないとして、以下のような場合も補助金の対象から除外されます。

  • 経済産業省から補助金交付等停止や契約に係る指名停止措置を受けている
  • 補助事業期間に限って従業員数の削減を行うなど、補助金のために従業員数等を変更している
  • 補助事業の実施の大半を外注し、企画だけを行っている
  • 従業員の解雇を通じて賃上げ要件を達成させている
  • 公序良俗に反する事業
  • 風営法により定める事業
  • 暴力団または暴力団員と関係がある中小企業やリース会社
  • 同一法人・事業者による複数申請
  • 1次または2次公募で採択済み補助事業との重複案件
  • 国庫・公的制度からの二重受給

補助対象要件

大規模成長投資補助金を受け取るためには、以下の2点を満たさなければなりません。

  • 投資額10億円以上(税抜。外注費・専門家経費を除く補助対象経費分)であること
  • 補助事業終了後3年間の、補助事業に関わる従業員および役員1人あたりの「給与支給総額」の年平均上昇率が、直近3年間の最低賃金の年平均上昇率(4.5%)以上であること

「給与支給総額」とは、給与所得として課税対象になる経費のことで、具体的には以下のようなものをすべて合計した額を指します。

給与支給総額に 

含まれるもの 

・給与 

・役員報酬 

・賞与 

・各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族手当、住宅手当等) 

なお、補助金を受け取った後に賃上げ要件を満たせなかった場合、天災などやむを得ない事情を除いて未達成率に応じて補助金を返還しなければなりません。

補助事業の完了年度の1人当たり給与支給総額が、申請時の直近の事業年度を下回っている場合も同様です。

さらに、補助金の要件を達成するために従業員を解雇することも認められず、そのような場合は補助金の全額を返還することになります。

大規模成長投資補助金の補助上限額

大規模成長投資補助金の補助上限額

大規模成長投資補助金では、投資にかかった費用の3分の1を受け取ることができます。ただし、その上限額は50億円と定められています。

例えば120億円の投資を行うケースでは、その3分の1に当たる40億円を補助金として受け取れます。

一方で、180億円の投資を行うケースでは、その3分の1は60億円ですが、上限があるため50億円しか受け取れません。

なお、大規模成長投資補助金では10億円以上の投資が要件とされているため、活用する際は最低でも約7億円の自己負担が必要です。

大規模成長投資補助金の補助対象経費

大規模成長投資補助金の補助対象経費

建物費 

専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他成長投資計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費 

機械装置費 

専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費 

② ①と一体で行う、改良・修繕、据付け、運搬に要する経費 

ソフトウェア費 

専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費 

② ①と一体で行う、改良・修繕に要する経費 

外注費 

補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費  

専門家経費 

補助事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費  

大規模成長投資補助金の対象となる経費は、上記の通りです。

外注費と専門家経費については、応募申請時の成長投資計画の作成に要する費用は、補助対象に含まれません。

補助対象とならない経費

補助対象と
ならない経費
 

・ソーラーパネルなど他の公的制度を活用した発電設備および付属設備 

・事務所等の家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費 

・電話代、インターネット利用料金などの通信費 

・商品券 

・文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌購読料、新聞代、団体などの会費 

・飲食、奢侈、娯楽、接待の費用 

・自動車や船舶などの購入費・修理費・車検費用 

・税務申告、決算書作成などのために税理士、公認会計士等に支払う費用、訴訟などのための弁護士費用 

・収入印紙代 

・振込等手数料、代引手数料、両替手数料 

・公租公課 

・保険料 

・借入金の支払利息、遅延損害金 

・補助金の申請にかかる書類作成などの費用 

・パソコン・タブレット・スマートフォン・家具・3Dプリンタなど目的外使用になり得るもの 

・価格設定の適正性が明確でない中古品 

・自社の人件費 

・企業内の支払いや資本関係がある事業者への支払い 

・地域未来投資促進税制、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制の適用を受ける設備 

など 

大規模成長投資補助金の対象にならない経費は、上記の通りです。

補助対象経費の精査は、交付申請時に行われます。補助金に採択されたとしても、精査の結果次第では、申請時に計上された経費がすべて補助対象になるとは限らない点に注意してください。

2024年の大規模成長投資補助金の採択率

2024年の大規模成長投資補助金の採択率

大規模成長投資補助金は2024年に導入され、同年中に2回公募が行われました。2回の公募を通じた採択率は14.4%で、非常に狭き門といえます。

2024年1次公募の採択状況

1次公募では、有効申請件数736件に対して、1次審査通過が254件、2次審査通過(採択)が109件でした。

通過率は1次審査で35%、2次審査で40%となっています。

採択業種は製造業と物流業のみで、平均投資予定額は約54億円、平均目標賃上げ率の中央値は4.3%でした。

出典:大規模成長投資補助金事務局「1次公募の採択者について」

2024年2次公募の採択状況

2次公募では、有効申請件数605件に対して、1次審査通過が218件、2次審査通過(採択)が85件(追加採択分を含む)でした。2次公募では、追加採択が実施され、当初の2次審査で不採択となった事業者の中から30件が追加されています。

通過率は1次審査で36%、2次審査で25%となっています。

採択業種は製造業が最も多く、宿泊業、物流業、建設業、飲食業、リサイクル業など幅広い業種の企業が採択されました。平均投資予定額は約47億円、平均目標賃上げ率の中央値は5.5%でした。

出典:大規模成長投資補助金事務局「2次公募の採択者について」

過去採択者の指標の中央値

1次・2次公募における各種指標の中央値(採択者、申請者全体)

2024年の採択者の平均投資予定額は約49億円、平均目標賃上げ率の中央値は1次公募で4.3%、2次公募で5.4%%でした。

補助金事務局は「高い目標水準の事業が採択となりました」とコメントしています。

さらに詳しくみると、採択企業の全社売上高増加額の中央値は、申請者全体を大幅に上回っており、本補助金を契機に会社全体の成長が計画されていることが伺えます。

補助事業の売上高成長率、売上高増加額、労働生産性、付加価値増加額の全ての項目でも採択企業は申請者全体を大幅に上回っており、対象事業への大きな貢献は必須となっています。

地域への波及効果では、2次公募における賃上げ率においては申請者全体でも5.0%を計画していますが、採択者では5.4%が中央値となっており、本補助金の目的でもあることから、高い賃上げ計画は重要です。

一方で企業経営上は固定費を増加させる側面もあるため、綿密な計画が必要になるでしょう。

大規模投資・費用対効果では、補助金に対する補助事業付加価値増加割合が採択者は大幅に申請者全体を上回っており、本指標の重要性がうかがえます。

出典:大規模成長投資補助金事務局「1次・2次公募における各種指標の中央値(採択者、申請者全体)」

採択事例

大規模成長投資補助金の事務局ホームページでは、採択企業の取り組み内容が紹介されています。

例えば「サトウのごはん」で有名なサトウ食品は、長期的な需要増加と労働人口減少を見込み、大規模な自動化・省人化設備による次世代型新工場を建設する計画を作成しています。

総事業費は96億円、そのうち約81億円を補助事業として申請し、補助金27億円の申請が採択されました。

総合物流企業の国際エキスプレスは、物流のDX推進により今後6年間で売上高の2.4倍増を掲げ、自動倉庫システム・自動梱包機の導入などへの投資計画を立てました。これらの投資により、東京支店・横浜支店における物流業務の作業効率は約4倍になるとしています。

総事業費は47億円で、16億円の補助金を申請し、採択されています。これらの採択事例をチェックすることで、自社の申請時の参考にできます。特に、自社に近い業種の採択事例は必ず確認しておきましょう。

採択事例を確認する際のポイント

自社に近い採択事例を参考にする際には、業種、規模はもちろんのこと、審査は地域ブロック単位で行われるため、地域で事例を絞り込むのも重要です。

一方で、補助事業の内容については、他社の事例は参考程度にとどめるのがよいでしょう。

取り組みの内容があまりに似通っていると、他社との差別化が図れていないと判断されて、審査においてマイナスに働く可能性も否定できません。

出典:大規模成長投資補助金事務局「補助金交付が決定した企業(随時更新)」

大規模成長投資補助金の審査の流れとポイント

大規模成長投資補助金の審査の流れとポイント

大規模成長投資補助金の審査は、書面審査とプレゼンテーション審査の2段階で行われます。

1次審査:書面審査(成長投資計画書)

1次審査では、申請事業者から提出された35ページ以内の成長投資計画書に基づき、従業員数2,000人以下といった形式要件がチェックされます。

また形式基準だけでなく、計画の効果・実現可能性などについても、定量的な審査が行われます。

計画の内容では、以下の5つのポイントが重視されます。

経営力 ・長期ビジョン 

・外部環境と内部環境の認識を踏まえた事業戦略 

・成果目標や経営管理体制 

・適切な資金計画 

先進性・成長性 ・自社の優位性が確保できる差別化された取り組みか 

・人手不足の状況が改善される取り組みか 

・市場規模の伸びを上回る成長が見込まれるか 

地域への波及効果 ・地域への波及効果が見込まれる取り組みか 

・連携による相乗効果が見込まれるか(コンソーシアム申請の場合) 

大規模投資

費用対効果
 
・企業規模に応じたリスクをとった投資か 

・生み出される付加価値が相対的に大きい取組か 

・企業の行動変容が示されているか 

実現可能性 ・事業に必要な資金・体制が確保されているか 

・課題と解決方法・スケジュールが適正か 

・市場ニーズの有無を検証できているか 

これらの審査基準を踏まえて、それぞれの項目についてさらに詳しく解説します。

経営力

経営力の面からは、以下の4点が評価されます。

  • 社会課題や顧客ニーズの変化等のメガトレンドを踏まえ、5~10年後の社会に価値提供する自社のありたい姿(長期成長ビジョン)が具体化されているか。その中において、高い売上高成長率及び売上高増加額が示されているか。
  • 市場・顧客動向を始めとした外部環境と、自社経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)などにかかる強み・弱みの内部環境を分析した上で、今後3~5年程度の事業戦略が論理的に構築され、その中で、補助事業が効果的に組み込まれているか。会社全体の売上高に対する補助事業の売上高は高い水準か。
  • 会社全体・補助事業双方の成果目標などが示され、その達成に向けて効率的に管理する体制(取締役によるガバナンス機能やステークホルダーへの情報発信など)が構築されているか。
  • 補助事業を通じて持続的な成⻑や⻑期成⻑ビジョンの実現に繋がるような適切な資⾦計画が検討されているか。

持続的な賃上げの実現には、補助金を活用した事業セグメントの成長だけでなく、補助事業を通じて企業全体の持続的な成長につながっていくことが重要なため、長期成長ビジョンの中での補助事業の位置付け、補助事業が企業自身の成長にどのようにつながるかが、確認されます。

先進性・成長性

先進性・成長性の観点からは、以下の3点が評価されます。

  • ターゲットとするマーケットにおける競合他社の状況を把握し、競合他社の製品・サービスを分析した上で、継続的に自社の優位性が確保できる差別化された計画となっているか。
  • 補助事業により、労働生産性の抜本的な向上が図られ、人手不足の状況が改善される取り組みとなっているか。労働生産性の伸び率および付加価値の増加額が十分に高い取り組みか。
  • 補助事業により提供される製品・サービス等の売上高の持続的な成長が見込まれるか。さらに、その成長率は、補助事業の関連する市場規模全体の伸びを上回るものであるか。

地域への波及効果

地域への波及効果の観点からは、以下の2点が評価されます。

  • 補助事業により、従業員1人あたり給与支給総額、雇用が申請時点と比べて増加しているなど、地域への波及効果が見込まれる取り組みか。特に、投資により創出された利益を賃金として従業員へ還元する賃上げの計画が具体的かつ妥当であり、給与支給総額の増加額が大きく、賃上げ要件の水準を大幅に上回るものとなっているか。
  • リーダーシップの発揮により、参加者や地域企業への波及効果、連携による相乗効果が見込まれるか(主にコンソーシアム形式の場合を想定)。

事業を持続的なものとする観点から、補助事業において川上の調達先、川下の販売先、協業企業などが、自然災害・感染症・紛争・外国の貿易的措置・人権問題といったサプライチェーン上のリスクに対応できるレジリエンスを有しているかについて、必ず成長投資計画書に明記しなければなりません。

大規模投資・費用対効果

大規模投資・費用対効果の観点からは、以下の3点が評価されます。

  • 企業の収益規模に応じたリスクをとった大規模成長投資となっているか(事業者全体の売上高における設備投資額の比率が高い水準であるか)。
  • 補助事業として費用対効果が高いか(補助金の交付額に対する付加価値の増加額等)。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウなどの強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されることにより、効果的な取り組みとなっているか。
  • 従前よりも一段上の成長・賃上げを目指すなど、企業の行動変容が示されているか。

実現可能性

実現可能性の観点からは、以下の3点が評価されます。

  • 事業実施のための体制や最近の財務状況などから、補助事業を適切に遂行できると期待できるか(ローカルベンチマークの総合得点)。
  • 事業の実施に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。
  • 補助事業によって提供される製品・サービスのユーザー、マーケット及びその規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。

事業の持続性確保の観点から、適切な情報管理体制を構築し、その旨を必ず成長投資計画書に明記するよう求められます。

2次審査:プレゼンテーション

2次審査は、地域ブロック単位で審査会が開催されます。

提出した成長投資計画を用いて、申請企業の経営者自身が、計画の効果・実現可能性についてプレゼンテーションを行い、外部有機者との質疑応答も行われます。

経営者以外の役員などが同席して補足説明することが認められており、「金融機関による確認書」が提出されている場合は、金融機関の担当者も同席できます。

一方で、原則として経営者の出席・説明が必須とされ、経営者の出席がない場合は審査上不利になる可能性があります。

手元の紙資料やメモの持ち込みはできますが、PC・タブレットの持ち込みや、個別の補足資料の持ち込み・投影は認められません。

補足説明のために社内の担当者などを同席させることに加えて、経営者自身が成長投資計画を十分に理解した上で、トークスクリプトを用意し、手元のメモなどに基づいて理路整然と話すことが重要です。

また、成長投資計画に盛り込まれた数値目標について、根拠を示せるよう準備していきましょう。

採択後に目標を達成できなかった場合

採択後に目標を達成できなかった場合

採択後に、成長投資計画に記載した労働生産性の向上や費用対効果の目標を達成できなかったとしても、受け取った補助金を返還する必要はありません。

一方で、計画に記載した賃上げ目標を達成できなかった場合には、未達成率に応じて、補助金を返還する義務があります。

ただし、未達の理由が、天災など、事業者の責めに帰さない事情であれば、返還は求められません。

まとめ

大規模成長投資補助金とは?公募スケジュールや採択率などを解説

大規模成長投資補助金は、中堅・中小企業の設備投資を支援する、最大50億円の補助金です。ただし、前年の採択率は14.4%と、極めて狭き門でもあります。

補助金を得るためには、経営力・先進性・地域への波及効果・費用対効果・実現可能性などについて説得力のある投資計画を作成するとともに、経営者自身によるプレゼンテーション審査を通過しなければなりません。

もし補助金を受け取ることができれば、自社の成長につながる大規模投資の大きな助けとなるため、専門家の力を借りて採択を目指しましょう。

監修者

  • 正井 健司

    株式会社AGSコンサルティング
    AGS補助金事務局 部長

    正井 健司

    2019年9月、AGSコンサルティングへ出向期間を経て入社。前職はメガバンクに30年勤務、最終職歴は審査部門。

    現在、ビジネスコンサルティング企画部長。専門分野は金融機関からの資金調達支援に従事。

    入社後、コロナ禍における中堅・中小企業向け補助金支援業務の立上げに伴い、事務局責任者に就任。

    事業再構築補助金での支援実績は約110社。採択率は約65%と税務・会計系コンサル業では最上位クラス。