目標設定の指標である「KGI」と「KPI」について解説しています。それぞれの意味や違い、設定することによるメリットや設定の具体例、KSFやOKRといった目標設定に関する関連用語などについても紹介しています。KGI,KPIそれぞれの違いを理解して目標設定を行いましょう。
目次
- KGI・KPIとは
- KGIとは「最終目標(長期的な目標)」のこと
- KPIとは「中間目標」のこと
- KGIとKPIの違い
- KPIツリーとは
- KGIやKPIを設定するメリット
- 明確な目標設定ができる
- 目標への進捗を定量的に確認できる
- 作業優先度の判断がしやすくなる
- KGI・KPI設定の具体例
- 1. KGIを決める
- 2. KPIを決める
- 3. それぞれの目標数値を決める
- KGI・KPIに関連する用語
- KSF(Key Success Factor)
- CSF(Critical Success Factor)
- KDI(Key Do Indicator)
- OKR(Objectives and Key Result)
- まとめ
KGI・KPIとは
企業が目標を達成するには、「KGI」や「KPI」といった指標を適切に設定する必要があります。
ここでは、KGIとKPIそれぞれの考え方を説明します。
KGIとは「最終目標(長期的な目標)」のこと
KGIとは、Key Goal Indicatorの略で、「重要目標達成指標」と訳されます。
売上高や成約数など、ビジネス上の最終目標を達成するために定量的に設定されるのが特徴で、細かな目標の積み上げによる長期的な目標といえます。
KPIとは「中間目標」のこと
KPIとは、Key Performance Indicator の略で、「重要業績評価指標」を指します。
KGIを達成するために設定されたプロセスが適切に実施されているかを、定量的に評価するための指標です。一般的にKGIから逆算して内容を設定します。
KPIで設定する指標は多岐に渡るため、目的を達成するために都度適切な設定を行う必要があります。
KGIとKPIの違い
KGIはビジネス上の最終目標であることに対し、KPIはKGIを達成するために必要な事項を細かく分解したものを指します。
KGIは達成すべき「結果」を評価する指標であることに対し、KPIは最終目標に至るまでの「過程」ともいえます。たとえば、目標とする売上を達成するために、ダイレクトメールの発送件数を定量的に評価するような関係性です。
KPIツリーとは
KGIを達成するために作成されるツールに「KPIツリー」があります。KPIツリーとは、最上位に最終目標であるKGIを設定し、目標達成に必要な要素を何層にも分解、個別の定量的な目標とアクションになるまでツリー状に落とし込んでいく手法です。
たとえば、一定期間における売上目標がKGI(最終目標)とすると、目標を達成するために行うべき必要な要素を考えて分解し、実行可能なKPI(中間目標)として設定していきます。例としては以下のようなものが挙げられます。
- 顧客数(商談数)
- 客単価
- 平均購入個数
- 新規顧客数
- リピート顧客数
KPIは過程を細分化するため、目標の設定と効果の検証が容易になるのが特徴です。
例えば「顧客数(商談数)」のKPIを達成するために例として以下のようなアクションが考えられます。
- 新規顧客へ◯件架電する
- 既存顧客へ◯件架電する
- 打ち合わせから1週間経過後に必ずリマインドの連絡をする(業務フローの改善)
※実際にリマインドした数やリマインドからの返信数(返信率)、リマインドから商談に繋がった数なども記録しておくと良い
これらのどのアクションがKPI達成に効果的であったか、振り返りがしやすくなります。
また、最終目標であるKGIがうまく達成できない場合でも、問題点が可視化できるため改善策が立てやすい点も特徴といえます。
KGIやKPIを設定するメリット
適切なKPIが設定してあれば、実務担当者に割り当てられた中間目標を達成することで企業の最終目標に貢献できます。
また、企業の目指す目標や目的を共有できるだけでなく、「目標への進捗を定量的に確認できる」「作業優先度の判断がしやすくなる」などのメリットがあります。
明確な目標設定ができる
最終目標であるKGIを共有することで企業の経営方針が明確になるとともに、個人の目標もKPIを用いて評価できます。
KPIによって個人の評価基準も明確になるため、組織の一員としてのモチベーション向上にも期待できます。
KPIは本人と上長が合意して決定する場合が多いため、人事評価に対する納得感を得られやすい点もメリットです。
目標への進捗を定量的に確認できる
KGIやKPIでは、方向性や手段だけではなく具体的な数字を設定するため、進捗状況を定量的に確認できます。
そのため、取り組みが遅れていないか、効果的なKPIとするために何を見直すべきかなど、PDCAサイクルを回しやすくなる効果に期待できます。
作業優先度の判断がしやすくなる
個人が取り組むべきKPIが明確になると、作業の優先順位が判断しやすくなります。
KPIは四半期や半期などの限られた期間で設定されることが多いため、目標達成のための時間軸が明確になり、割り当てられたKPIを達成するために何を優先すべきか自分で判断することができます。
KGI・KPI設定の具体例
KPI・KGIの設定方法について、具体的な事例を交えて解説します。
1. KGIを決める
まず、企業の方向性と一致することを確認したうえでKGIを決めることが必要です。
ここでは、企業内の営業部門(自社製品を販売)で、第四半期の売上を対前年比で10%アップすることをKGIとします。
2. KPIを決める
KGIとして売上を10%上げるという目標が与えられたため、それを実現するための営業部門のKPIを設定します。
例として、以下のようなKPIを設定することが考えられます。
- 商談件数
- アポ件数
- 提案件数
- 案件受注数
実際には、マーケティング部門で獲得したリード(見込み顧客)に対して、いかに営業部門が商談に繋げるか、といった部署間での連携が必要となります。
3. それぞれの目標数値を決める
営業部門のKGIとして一般的なのは、売上金額や成約率などです。
今回はKGIである売上目標(前年比10%アップ)に対するKPIの一例として、顧客数とそれに繋がる要素を設定します。
設定したKPIの一例は、以下のとおりです。
・売上(KGI)= 顧客数(KPI) × 平均客単価(KPI)
KPIを設定したあとは、実現可能な数値に落とし込む必要があります。
そのためには、以下の「SMARTの法則」が活用できます。
- Specific:具体的である
- Measurable:測定可能である
- Achievable:達成可能である
- Relevant:関連性がある
- Time-bound:期間が明確である
この5要素を満たすことで、適切な数値目標が設定できます。
Specific(具体的である)
設定する目標は、具体的かつ明確である必要があります。
曖昧さを残して解釈の幅を持たせないように、誰が読んでも明確に理解できるものにしなければなりません。
組織全体としての方向性を明確にし、従業員の意識統一を図る効果も期待できます。
Measurable(計測可能である)
設定する目標は、定量的に計測できる必要があります。
進捗度の確認ができる指標とすることで、プロジェクト管理やPDCAによる改善が容易になります。
Achievable(達成可能である)
理想が高く実現できる可能性が低い目標を設定すると、実行する個人のモチベーションを下げ、計画の進捗を著しく遅延させかねません。
現実的な範囲で適切な目標を設定しましょう。
Relevant(関連性がある)
設定したKPIは、KGI達成に関連するものである必要があります。
KPIを達成していくことで、自然とKGIを達成できるか?という観点を確認しましょう。
Time-bound(期間が明確である)
目標の達成には期間の設定(いつまでに)が必要です。いつまでに達成するかを決めることで、行動が変わってきます。
例えば売上目標が対前年比10%アップだとしたら、それを3ヶ月で達成するのか、12ヶ月で達成するのかを決め、そのためのアクションプランを他のSMARTの項目を活用しながら洗い出します。
KGI・KPIに関連する用語
KPI・KGIに関連する用語について、例を挙げて解説します。
KSF(Key Success Factor)
KSFとは「主要成功要因」で、目標達成のために注力すべき要因を指します。
他社と競争して成果を上げる場合において、自社の優れた点を築くために設定される重要な要素で、「定性的な指標」とされます。
たとえば、顧客数を獲得するために重要な要素として、KSFとしては他社と比べて価格優位性があることなどが取り上げられます。
CSF(Critical Success Factor)
CSFは、日本語で「重要成功要因」と訳され、目標達成のために決定的に重要となる要因を指します。
KSFと同義として扱われることが多く、CSFやKSFに注力することでより効果的な取り組みが行えるようになります。
KDI(Key Do Indicator)
KDIは「重要行動指標」を指し、KPIを達成するために必要な指標を数値化したものです。
目標を達成するために、実行する行動内容や回数などが具体的に設定されます。
たとえば、営業電話をかける回数やメールマガジンの配信数などを設定することが挙げられます。
OKR(Objectives and Key Result)
OKRは「達成目標と主要な成果」を指します。KGIやKPIとは異なり、組織や個人の目標設定・管理手法の1つとして人事評価に用いられるのが一般的です。
容易には達成できない高い目標を設定することでチャレンジ精神を醸成し、目標達成のために個人や組織が実施するプロセスを可視化します。
たとえば、Webからの受注機会を20%上げるためにリモートでの商談数を今の数から60%増加させる、といった意欲的な内容となります。組織全体の目標をもとに設定することで、従業員が同じ目線で業務を 遂行していくことが可能です。
まとめ
KGIはビジネス上の最終目標であることに対し、KPIはKGIを達成するために必要な要素を積み重ねた中間目標です。KPIは、KGIを達成するために必要な事項を細かく分解したものといえます。
KGIは、達成すべき「結果」を評価する指標であるのに対し、KPIは最終目標に至るまでの「過程」ともいわれます。
KPIの作成法としては、KPIツリーを利用して目標の達成に必要な施策を洗い出し、課題と解決策を網羅的に把握する手法があります。具体的な指標やプロセスは、経営層などから一方的に決められるものではなく、従業員と一緒に設定するのが特徴です。
指示された指標ではないため、達成度が明確になり評価にも納得を得られやすくなります。企業の経営戦略の達成や事業の成功に向けて、KGI・KPIを適切に設定しましょう。