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Q.「レガシーシステム」について教えてください。

A.レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みで構築されているシステムを指します。1980年代に多くの企業が導入したメインフレーム(汎用機)やオフコンなどが代表例です。
しかし、レガシーシステム=「古い技術を使っている」ということではありません。

<レガシーシステムの問題実態>
・自社システムの内部構造が複雑化・ブラックボックス化し、IT人材不足もあり自力で修正できない状況に陥る。
・経営や業務を支えるはずのシステムが役に立たなくなり、場合によっては「成長の足かせ」となってしまう。

2018年に経済産業省が公表した「DXレポート」では、約8割の企業がいまだにレガシーシステムを使用しており、「IT人材が不足する中、レガシーシステムの保守・運用にIT・ソフトウェア人材が割かれており、貴重な『IT人材資源』の“浪費”につながっている」と指摘されました。

<既存システムの現状と課題>

(出典)経済産業省「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」(2018年9月)

欧米や中国の企業がデータを活用したビジネスを進める中、日本企業のデータ活用が遅れた場合、2025年頃から加速度的に日本はデジタル競争の敗者になってしまうという強い危機感が背景にありましたが、それから数年、状況は大きく改善していません。

では、レガシーシステムを放置すると何が問題なのか?改めて確認してみましょう。

■全体システムの改善が難しい
レガシーシステムはブラックボックス化しているため中身や周辺システムとの関連性の解明、対応策の検討が難しく、全社的なシステム改修時にも対応が長期化します。

■データ活用の遅れにより競争力が低下する
社会経済のデジタル化が進む中、企業が抱えるビジネス要件も急激に変化しています(「 DXとは」 参照)。レガシーシステムでは、社内にデータが蓄積されていても活用できない、新しいデジタル技術に対応しようとしても技術的制約により実現できないなど、スピーディーに事業展開できず、機会損失や競争力の低下を招きます。

■保守運用費用が肥大化し、戦略的なIT投資ができない
レガシーシステムを運用し続けると、ブラックボックス化したシステムの保守運用費用は肥大化していきます。DXレポートによれば、55%の企業で80%以上のIT予算が現行ビジネスの維持・運営に費やされています。その結果として、戦略的なIT投資ができなくなり、先進的なデジタル企業にどんどん遅れを取ることにつながります。

このようにレガシーシステムの運用を続けることは、様々なリスクをはらんでいます。しかし、現行システムが問題なく稼働している限り緊急性を実感するのは難しく、刷新は先送りになりがちです。また、社内調整の壁も無視できません。経営者と事業部門、情報システム部門は立場が異なるため、それぞれを理解し、全体調整に向けて適切にコミュニケーションできる人材が仲立ちすることが望ましい場合もあります。

構造上、先送りにすればするほどリスクは高まりますので、レガシーシステムの問題が顕在化する前に、現状確認と対応策の検討をしてみてはいかがでしょうか。

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