基幹システムとはどのようなシステムかを解説しています。似たような言葉として使われる「業務システム」「ERP」「情報系システム」との違や種類、基幹システムを導入するメリット・デメリット、選ぶ際のポイントも紹介しています。基幹システムの導入や入れ替えを検討されている方は参考にしてください。
2023.07.11(最終更新日:2024.08.14)
基幹システムとはどのようなシステムかを解説しています。似たような言葉として使われる「業務システム」「ERP」「情報系システム」との違や種類、基幹システムを導入するメリット・デメリット、選ぶ際のポイントも紹介しています。基幹システムの導入や入れ替えを検討されている方は参考にしてください。
2023.07.11(最終更新日:2024.08.14)
基幹システムとは、販売、生産、在庫、会計、人事といった企業の根幹となる業務を管理するためのシステムです。基幹システムの導入によって、業務効率化の実現が期待できます。
基幹システムと似ている用語で、混同されやすいのが以下のシステムです。
ここでは、基幹システムとその他のシステムとの違いについて解説します。
「業務システム」とは、従業員 の業務遂行を効率化するためのシステムです。顧客管理システムや営業支援システム、ドキュメント管理システムなどが挙げられます。
基幹システムも業務に携わるシステムのため、広義の意味では業務システムともいえます。どちらも企業活動にとって重要ですが、業務システムはあくまで「業務遂行に役立つシステム」という位置付けです。
「ERP」は、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、統合基幹業務システムなどと呼ばれます。企業の基幹となる業務をひとつのシステムに統合したパッケージソフトで、ヒト・モノ・カネなど企業の経営資源に関する情報を一元管理し、リソース配分の最適化を実現できます。
基幹システムが、生産管理や販売管理、在庫管理、会計管理、人事管理といった業務ごとに独立したシステムなのに対し、独立した基幹システムをひとつのシステムに統合したのがERPです。
「情報系システム」とは、社内外のコミュニケーションの効率化を目的としたシステムです。具体的には、メールや社内SNS、スケジューラー、グループウェア、Web会議システムなどが挙げられます。
従業員のタスクやスケジュールの管理をする機能や、社内情報の共有・一括管理といった便利な機能を搭載したシステムも使用されます。
情報系システムが一時的に停止すると業務遂行の効率性は落ちますが、基幹システムと違って企業運営そのものへの影響は大きくありません。
基幹システムには様々な種類があります。主要な基幹システムは、以下の通りです。
いずれのシステムも不具合が起きれば企業運営に影響を与える重要なシステムです。以下ではそれぞれのシステムの特徴と概要について紹介します。
販売管理システムは、販売に関わる業務を一元的に管理するシステムです。 受注や請求、入金といった販売に関するプロセスを一元管理し、業務の効率化のみならず売上予測や販売計画の精度向上を実現します。
購買管理システムとは、資材などの購買を効率的に行うためのシステムです。原材料や部品(直接材)から補修用品や消耗品、事務用品(間接材)まで、様々な資材を調達する企業の購買活動において、価格や品質、納期を管理するだけでなく購買計画を作成する機能もあり、購買業務に付随する作業を効率化できます。
在庫管理システムとは、資材や商品の在庫情報を一元的に管理するシステムです。
在庫管理システムを使えば倉庫や店舗の在庫を正確に把握できるため、在庫数を最低限に抑えて余剰在庫を削減できるだけでなく、欠品することがないように仕入れを行うことが可能です。
バーコードで在庫管理を行い、ハンディターミナルなどの端末で数量チェックを行えるため、棚卸作業の負担を軽減できます。
生産管理システムとは、計画、生産、原価計算、品質管理といった製造業における様々な業務を一括して管理するシステムです。生産管理システムの導入によって各生産工程における業務を可視化でき、QCDの最適化に繋がります。
複数の従業員が同時に作業をしても、それぞれが入力したデータがリアルタイムで更新され、生産情報を正確に把握できます。生産部門や営業部門といった部署間での連携も図りやすく、統一データをもとに生産管理を行えます。
財務・会計システムとは、会計業務を自動化し、帳簿や決算書の作成をサポートするシステムです。
財務・会計システムを導入することで、仕訳の入力や集計、決算書の作成といった一連の会計業務が効率化されます。取引データを入力するだけで帳簿や決算書などを自動的に作成できるため、経理作業の手間を大幅に削減できます。
従業員が手入力を行う機会が最小限に抑えられ、人的ミスの削減にも貢献します。
人事・給与システムとは、採用や人事評価、給与計算といった人事・給与に関わる業務を管理するためのシステムを指します。
人事・給与に関わる業務全体の効率化を図り、人事業務を担当する従業員の業務環境の改善や人件費の削減に貢献します。
人事・給与システムに集約した人事に関する情報を企業の資源として有効活用することで、人員配置や待遇、制度の最適化を実現できます。
勤怠(労務)管理システムは、出退勤時間の記録・残業や休暇の申請、シフト作成、労働時間の集計といった勤怠管理に関する業務全般を支援してくれるシステムです。
勤怠(労務)管理システムの導入により、手作業で行っている勤怠管理にかかる工数を大幅に削減できます。
勤怠管理の効率化によって、人事担当者が労働環境改善や人材育成といったコア業務にリソースを集中させられるメリットもあります。
基幹システムには様々な利点がありますが、その中でも特に大きなメリットは以下の3つです。
ここでは、基幹システムを導入するメリットについて解説します。
基幹システムを導入することにより、業務に関する様々なデータ管理を効率化できるメリットがあります。エクセルをはじめ複数のシステムで管理していたデータを基幹システムひとつで管理できるようになるため、業務スピードが早くなります。
データ連携が可能な点も業務効率化に大きく貢献します。例えば、財務・会計システムに仕訳データを投入することで、総勘定元帳や損益計算書、貸借対照表といった決算書類を自動的に作成できます。
基幹システムを導入することで業務を標準化でき、誰が業務を行っても一定のクオリティを担保できるようになります。経験やノウハウを持った特定の従業員がいなければ業務を行うことができない、いわゆる「業務の属人化」を防げるだけでなく、業務品質の向上が望めます。
操作方法や注意点といったマニュアル作成を容易にできる利点もあります。担当が変更になる際の引き継ぎの時間を短縮でき、前任者、後任者ともに本来の業務に注力しやすいこともポイントです。
基幹システムを導入すれば、購買や在庫、生産、販売といった会社の根幹をなす業務のデータを一元管理できます。
データを一元管理できれば、部署間や部門間で参照するデータがずれる、二重登録されるといったミスを防げる上に、データの取得が容易なためデータ分析に集中でき、より効率的に経営状況を可視化することが可能になります。
基幹システムはリアルタイムに情報を更新・共有することができるため、いつでも経営に必要な最新の情報を確認できます。常に会社の現状を把握しておくことで意思決定のスピードが上がり、より適切な経営判断が行えるでしょう。
基幹システムの導入に関するメリットを紹介しましたが、一方でデメリットも存在します。
ここでは、基幹システムを導入するデメリットについて解説します。
基幹システムにおいて避けられないのが「老朽化問題」です。基幹系システムの平均寿命は約14年とされており、一度導入すると長期的に利用する傾向が強まっています。システムの導入から数年が経過すると、当時は最新だったシステムも次第に古くなっていき、徐々に最新の業務内容に対応しにくくなってしまう可能性があります。
基幹システムを導入したらそれで終わりではなく、業務の変化に応じて定期的なシステムの見直しを実施する必要がある点を留意しておきましょう 。
基幹システムを導入すると情報管理がしやすく便利な反面、システムへの依存度は高くなります。依存度が高まると、何らかの要因でシステム障害が発生した場合にシステムを使用する多くの業務が滞るリスクがあります。
システム障害の発生を防ぐとともに、障害発生時には迅速に対応できる体制や業務フローを整えておくことが大切です。
基幹システムの導入にあたっては、そのシステムを使うことでどのような業務改善を実現できるかを理解する必要があります。効果を理解せずにシステムだけ導入しても、システムのメリットを享受できないばかりか業務が非効率になる可能性もあります。
新しいシステムの導入にあたって、業務フローの見直しと標準化は不可欠です。変更後の業務フローやシステムの使い方を覚えるなど、一時的に従業員の業務負荷は増加しますが、長い目で見れば負荷軽減に繋がります。
従業員の理解も得ながら、業務フローの見直しにも積極的に取り組みましょう。
基幹システムの導入を検討する際には、以下のポイントに注意が必要です。
これらの点を勘案せずに基幹システムの導入を進めてしまうと、導入コストに見合った効果を生まないばかりか、会社にとってマイナスにもなりかねません。
基幹システムの導入にあたっては、まず導入目的を明確にすることが大切です。例えば「当社は在庫管理に課題があり、機会損失が発生している。そこを改善するためにシステムを導入したい」といった明確な目的があれば、どの基幹システムが適しているか判断できます。
「便利そうだから」「他社も使っているから」などといった曖昧な理由で導入を決めると、システムのメリットを十分に活かせません。導入するにあたっては大きな金額が動くため、目的をしっかり見据えて判断しましょう。
事業や業務の変化に応じて、基幹システムに求められる機能も年々変化していきます。システムの導入においては、事業や業務の変化に対応できるようシステムの拡張性を確認しておくことが重要です。
IT環境の調達・運用を自社で行うオンプレミス型の基幹システムは、サーバーやソフトウェアが自社の資産であるため、サーバーのスペック拡張や、ソフトウェアのカスタマイズ性が高い傾向にあります。 一方、クラウド型の場合はオンプレミス型と比較するとカスタマイズ性が低い傾向にあります 。
基幹システムは会社の根幹を担うシステムであるため、強固なセキュリティが準備される必要があります。特に、顧客情報を管理するシステムからの情報漏洩は防がなくてはなりません。
いくら従業員一人ひとりが気をつけていても、システム障害やサイバー攻撃によって社外秘の情報が外部に流出する危険性はあります。基幹システムの選定にあたっては、ベンダがセキュリティに対してどの程度注力しているか確認するようにしましょう。
また、セキュリティ水準の高いツールを導入することに加え、セキュリティ教育を実施するなど、データの改ざんや紛失、漏洩といった事故を未然に防げるような対策も必要です。
基幹システムの導入には、関係者の理解を得ることも欠かせません。実際にシステムを使用する関係者が「使いたい」と思えるものでなくては使われなくなります。
導入にあたっては、「なぜそのシステムを導入する必要があるのか」「従業員にとってどんなメリットがあるのか」を丁寧に説明し、お互いが納得して使用できるようにしましょう。
基幹システムとは、生産や販売、在庫、会計、人事といった企業の根幹となる業務を管理するためのシステムのことです。
基幹システムを導入することで、業務の効率化や情報の一元化といったメリットがあります。一方、システムの老朽化やシステム障害のリスクなどのデメリットも存在するため、導入目的を明確にした上で検討を進めましょう。
なお、AGSコンサルティングでは基幹システム導入の支援も行っています。ベンダ選定や業務プロセスの可視化・標準化 にお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。