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Q. 海外進出後に、日本親会社の従業員が海外子会社へ勤務(出向・出張)する場合、日本の税務上どのような点に留意すればよいでしょうか?

A. 日本の税務上、海外勤務に関する課税対策として、以下の2点に留意する必要があります。
① 海外子会社への出向に関する給与:
給与・費用負担ルールの明確化(較差補填金の取り扱い整備)
② 海外子会社への出張に関する費用等:
親子会社間の費用整理と負担ルールの明確化

1.海外勤務に係る費用負担の全体像

① 海外勤務形態
日本法人から海外へ派遣される従業員の勤務形態については、主に以下の2種類があります。

NO 海外勤務形態 雇用関係
日本法人 海外現地法人
1 海外現地法人への出向 有り 有り
2 海外現地法人への出張 有り 無し

➁ 親子会社間の費用負担
海外勤務において日本親会社で負担する費用として、海外子会社への出向に関する給与や、海外子会社への出張に関する費用等(出張者の人件費含む)が挙げられます。
税務上、親子会社間取引でも適正な価格で行わなければならないので、これらの費用負担については合理的な金額を設定の上、規程や契約書等により基準を明確化する必要があります。

③ 較差補填金の取扱い
日本親会社の従業員を海外子会社へ出向させた場合、その給与は、社内規程・出向契約書などに基づいて支給されることとなります。
また、日本親会社と海外子会社の給与条件の格差を是正するため、較差補填金として日本親会社が給与の一部を負担することがあります。

2.日本の税務上の取扱い

① 海外子会社への出向に関する給与

基本的な
考え方
出向者が現地勤務していることを前提に、海外子会社が出向者の給与全額を負担します。

【税務上の取扱い】

親会社負担分
(較差補填金)
子会社負担分
原則 寄附金とみなされ、損金として認められません。 原則損金として認められます。
特例 負担金額の合理性を確保した上での支給については、損金として認められます。

(※)子会社負担分の現地税務上の取り扱いは、各国税制によって異なるケースがあります。

較差補填金が損金として認められるためには、以下のような準備が必要です。
(1) 海外勤務規程や出向契約書により、親子会社間の費用負担関係を明確化する。
(2) 海外子会社の現地負担額の合理性を確保するために、必要な根拠資料を準備する。
Ex.)出向者と同職位の給与水準と現地同職位の給与水準と比較し、公的なデータにより類似した同職位の給与水準とも比較 など

② 海外子会社への出張に関する給与

基本的な
考え方
出張に係る業務が日本親会社都合であれば日本親会社で負担し、海外子会社都合であれば海外子会社で負担します。
【海外出張者に係る出張経費等の例】
・交通費
・宿泊費
・出張手当
・出張者の日割人件費(社会保険料含む)

【税務上の取扱い】

親会社負担分 子会社負担分
都合
親会社
損金として認められます。 都合
親会社
原則寄附金とみなされ、損金として認められません。
都合
子会社
寄附金とみなされ、損金として認められません。 都合
子会社
原則損金として認められます。

※ 日本親会社都合の例
株主活動(親会社の株主総会開催のための活動や有価証券報告書等作成のため株主として行う活動)など
※ 海外子会社都合の例
日本親会社に依頼した技術指導や販売促進支援など
※ 子会社負担分の現地税務上の取り扱いは、各国税制によって異なるケースがあります。

海外出張経費が損金として認められるためには、以下のような準備が必要です。
(1) 出張が日本親会社都合なのか海外子会社都合なのか明確にする。
(2) 出向内容、出向者・出向先の海外子会社の状況を明らかにするための書類(社内規程、契約書等)や
費用負担額の算定根拠を証明するための書類を整備する。

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