税務調査の一環である「反面調査」とはなにか解説しています。反面調査が行われる理由や調査の具体的な内容、可能な限り回避する方法や反面調査が行われる場合の対処法、など様々な視点で解説してます。反面調査(税務調査)について調べている方は参考にしてください。
2023.12.08(最終更新日:2024.08.14)
税務調査の一環である「反面調査」とはなにか解説しています。反面調査が行われる理由や調査の具体的な内容、可能な限り回避する方法や反面調査が行われる場合の対処法、など様々な視点で解説してます。反面調査(税務調査)について調べている方は参考にしてください。
2023.12.08(最終更新日:2024.08.14)
反面調査とは、税務調査の対象者本人ではなく、取引先をはじめとする関係先に対して実施される税務調査のことです。
そもそも税務調査とは、納税申告が適切かを国税庁・国税局・税務署の職員が調査することを指します。税務調査には2種類あり、脱税の疑いがある納税者に対して行われる「強制調査」と、一般的に行われる「任意調査」があります。
税務調査が行われる時期や対象は明確には決まっていません。通常の税務調査では、調査対象者が保存する帳簿や請求書・領収書などの書類の確認、調査対象者への質問などにより、売上等の収益、売上原価、人件費、交際費といった費用が適切に計上されているかを確認します。
通常の税務調査が主に調査対象の本人を中心に行われるのとは対照的に、反面調査は取引先の会社や金融機関といった関係者に焦点を当てて行われます調査されます。
取引のある会社や金融機関に文書や電話で問い合わせる場合もあれば、相手先まで出向いて調査する場合もあります。反面調査は税務当局が必要であると感じた場合のみ行われ、状況によっては従業員やその家族も調査範囲に含まれる可能性があります。
調査対象者本人は、身を守るために都合の悪い情報を出さなかったり、誤った情報を出したりすることがありえます。税務当局は、正確な実態を把握する必要があると判断した際に、反面調査を行います。
出典:国税庁公式サイト「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
出典:国税庁公式サイト「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」
税務当局は、税収を確保するとともに適正かつ公平な課税の実現を目指しており、その一環として反面調査を実施します。
基本的に税務調査がスムーズに進行した場合は、反面調査まで行われるケースは少ないですが、以下のような場合には反面調査が行われる可能性が高まります。
上述した通り、反面調査まで行われるケースは限定的です。しかし、税務当局が「反面調査が必要」と判断した場合は、反面調査の実施によって調査対象者と取引先との関係が悪くなる可能性があったとしても、法令に基づき反面調査は実施されます。
帳簿や書類の管理、正確な申告は税務調査の有無に関係なく重要なため、適切に行いましょう。
反面調査は、通常の税務調査において調査対象者本人への質問等だけでは解決できない疑問点や不明確な項目について、その実態を確認するために行われます。
例えば、不審な領収証が出てきた場合などが該当します。
通常、税務当局は、調査対象者本人の帳簿、関連書類をもとに税務調査を行います。特定の取引に関する書類やデータが不十分であった場合などは、直接その取引先へ問い合わせることが実態解明に有効となるため反面調査が行われます。
税務当局は、反面調査について調査対象者本人に伝えることはほとんどありません。反面調査先に対しては、口裏合わせなどを避けるために予告なしで実施されることもあれば、効率性の観点から事前連絡をしてから行うケースもあります。
反面調査の方法自体は通常の税務調査と同じく、帳簿や請求書などの確認及び口頭での質問です。
正当な理由なく反面調査を拒否する、虚偽の情報開示を行うなどは、懲役や罰金の対象となる恐れがあるため注意しましょう。
反面調査が突然実施された際、やむを得ない事情がある場合は実施日の変更の申し出が可能です。
具体的には、反面調査先である取引先企業の担当者が出張で不在であったり、会議など業務上の都合で時間の確保が難しかったりといった場合が該当します。
ただし、調査日程の延期を申し出る際には、無用な遅延や調査の妨害を避けるため、理由や背景を明確に説明する必要があります。
反面調査の対象や内容は、税務調査で指摘された項目や疑問点によって異なりますが、基本的には、税務当局の調査官から指示された帳簿や書類を提出したり、調査対象者との取引について聞かれます。
反面調査に関係ない資料を収集されないよう、調査の意図を汲み取り、必要な書類のみを提出するようにしましょう。
反面調査では取引のある会社や銀行に直接質問がされるため、調査が入っていることを取引先に隠せません。
反面調査は取引先に手間をかけてしまうだけでなく、関係悪化に繋がる恐れもあります。
反面調査を避けるために、税務調査の対象企業にはどのような対処法があるのかについて解説していきます。
税務調査が円滑に進行し、特に問題がなければ反面調査が行われる可能性は低くなります。税務調査を万全の体制で受けるためにも、顧問税理士に税務調査の同席を依頼しましょう。
税理士は、税務に関する深い知識と経験を持つ専門家です。税務調査の対応実績がある税理士であれば、調査官からの質問や要求にどのように対応すればいいか熟知しているため、税務調査を適切に進行し反面調査を回避できる可能性が高まります。
顧問税理士がいない場合は、税務調査のサポート実績が豊富な税理士事務所への相談をおすすめします。専門家のサポートがあれば税務調査の不安や疑問を解消でき、結果として反面調査のリスクを可能な限り避けることにも繋がります。
税務調査の際に基本的かつ重要なのは、関連する全ての書類やデータを適切に保存しておくことです。
請求書や領収書の紛失、あるいは内容の不備などがある場合は情報不足、場合によっては所得隠しを疑われ、実態を確認するために反面調査が行われる可能性が増します。
取引の正確な記録や証拠としての役割を果たす請求書や領収書は、税務調査時に取引の妥当性や正確性を証明するための重要な情報となります。
帳簿データはもちろん、請求書や領収書などの関連書類も必ず保存しましょう。
また、税務調査が行われる場合、通常は調査担当者から事前連絡があります。税務調査の連絡を受けたら日程を調整し、調査対象とされた年分または事業年度分の帳簿や書類をスムーズに提示できるように準備しておきましょう。
税務調査とは、基本的に税務申告に不備がないかを確認する作業です。
調査過程での質問や確認事項に誠実に対応することで、調査官の疑問や懸念を解消でき、調査を円滑に進められます。
調査官からの質問には正確に答え、必要な情報や書類の提供も迅速に行いましょう。疑問点や不明点が生じた際には、それを解決するための手助けや情報を提供する姿勢が重要です。
協力的な姿勢で臨む必要がありますが、受けた質問が事実と異なっている場合はしっかりと否定し、税務調査に必要ではないと感じるような質問をされたら、毅然とした態度で応じましょう。
反面調査とは、税務調査で追求しきれなかった疑問点や不明確な点を、取引先を通じて確認するための調査手続きのことです。
税務当局が事業者の税務申告に対する真実性や妥当性を確認するために行われるもので、真摯な対応が求められます。
反面調査は税務調査が適切に進行し、必要な情報が全て提供されれば行われる可能性は低いです。日常の帳簿管理や税務申告の正確性、そして税務調査に対する誠実な対応が、反面調査の回避に繋がります。