概要
「キャッシュレスの、その先へ」というビジョンを掲げ、キャッシュレスサービスやメッセージングサービス、データセキュリティサービスなどを手掛けるアララ株式会社。2020年11月19日に、同社は東証マザーズへの新規上場を果たした。初めてのIPOに向けて活用したのが、AGSのIPOコンサルティングだ。
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井上 浩毅 氏
アララ株式会社
取締役副社長
コーポレート本部 本部長 -
中村 茂 氏
アララ株式会社
財務経理部 部長 -
長堀 いづみ 氏
アララ株式会社
経営戦略部 部長
背景と課題
社内にIPO経験者が不在 初めてのIPOに不安を抱える
同社は、2020年11月のIPOを目指し事業計画の作成などの準備を進めていた。IPOのためには、主幹事証券会社による審査を経て、東京証券取引所の審査をクリアする必要がある。しかし、同社にはIPOの経験をもつ人材がいなかったことから、審査対応に不安を抱えていたという。
「自分なりに上場申請書類の作成を進めていたのですが、当時の書類を今見ると恥ずかしいくらいの出来です。AGSさんにお願いするまでは、まったく前が見えない状態でした」と語るのは、同社の副社長であり、IPO審査に必要なビジネスサイドの文書作成を担った井上浩毅氏だ。
そこで同社は、もともと税務顧問を依頼していたAGSに相談し、AGSが手掛けるIPOコンサルティングのサービスを利用するに至った。
プロジェクトの流れ
IPOの約2年前に本格的な準備をスタート
2019年1月、同社はIPO審査に向けた準備に着手。まずは主幹事証券会社に提出する書面の準備を進めた。IPOを達成するには、会計監査対応や内部管理体制の構築、諸規程の整備など様々なタスクがあるが、同社がとくに課題を感じていたのが、IPO審査に必要な書面作成であったという。
同社財務経理部 部長の中村茂氏は、「我々だけで書面を作り、審査に臨もうとしたら、情報をどこまで記載すべきか分からず、徹夜続きになっていたでしょう。提出した書面に指摘を受ける可能性もありました」と明かす。
中村氏は、「AGSさんにIPO準備の支援をお願いしたのは、我々の立場に立って、より実務的な細かい点までサポートをいただくことができると期待したからです」と話す。
主幹事証券会社からの約200問×3回にわたる質問に、約3ヶ月で
2019年9月、同社はAGSのIPOコンサルティングの支援を受けながら、まずは主幹事証券会社から上場推薦を得るための審査対応の準備に着手した。提出期限である2019年12月までは時間が限られていたものの、AGSの支援を受けながら無事に期日までに提出が完了した。
ここから、翌年の2月から5月にかけ、主幹事証券会社からの質問への対応が始まる。3回にわたる質問は、それぞれ約200問に上ったという。
同社経営戦略部 部長の長堀いづみ氏は、「まずは質問事項に対する回答案についてAGSさんにアドバイスをいただきました。さらには内部管理体制の整備やスケジュール管理、書面を最終チェックし、体裁を整えていただくところまで、まさにかゆいところに手が届くご支援をいただきました」と話す。
東京証券取引所の審査対応を経て、予定どおりに上場
主幹事証券会社による質問への対応が終わった2020年7月。同社は無事に東証マザーズへの上場推薦を受けることが決まった。ここから、東証マザーズの審査に向けた準備にシフトする。提出を求められる書面の準備とともに、役員ヒアリングも行われた。
「役員ヒアリングに向けて、AGSさんから事前に想定問答のアドバイスや参考資料をいただきました。審査のルール上、ヒアリングの場に同席していただくことはできませんでしたが、事前のサポートのおかげで、とくに問題なく終えることができました」(長堀氏)
こうして2020年10月14日、同社は東証マザーズへの上場承認を得ることができ、当初の予定としていた2020年11月19日にIPOを達成するに至った。
導入効果
1日も遅れず経営計画どおりにIPOを達成できた
IPOのスケジュールは、企業の経営計画を大きく左右する。同社がIPO準備を進めた2020年はコロナ禍の影響を受け、上場中止となった企業は少なくない。
「コロナ禍の真っ只中にもかかわらず、スケジュールは1日たりとも遅れませんでした。IPOのスケジュールが遅れると、経営計画に大きな影響が生じますし、現場の社員の士気にもかかわります。このタイミングを逃すわけにはいきませんでした。本当にありがたかったです」(井上氏)
「社内でギリギリまで質問書の回答作成に時間をかけたため、AGSさんに指定された期限に遅れてしまうこともありました。そういうときにも臨機応変に対応していただき、提出書面の期限に間に合わせてくださったので、助かりました」(長堀氏)
税務顧問とIPOコンサルティングの連携で、無駄のない情報共有
同社はIPO準備を始める前から、AGSの税務顧問サービスを利用していた。そのため、IPO準備中は、AGSの組織内で税務顧問の担当と、IPOコンサルティングの担当で情報連携がなされた。
「AGSさんでなければ、弊社のビジネスモデルをイチから説明して、ご理解いただく必要があったので、かなり時間がかかったはずです。ここに手間をかけずに済んだのは良かったですね」(井上氏)
「普段から税務顧問をお願いしているので、AGSさんは当社の数字もよくご存知です。AGSさんのIPOコンサルティングを社内で勧めたのは私だったのですが、IPOに向けた業務をスムーズにするには、AGSさんにお願いするのが一番だったと思います」(中村氏)
担当者の声
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株式会社AGSコンサルティング IPO2事業部 マネージャー
寺元 由佳
私はプロジェクト全体の統括を行っていたため、とくに担当者のアサインを意識しました。今回は、証券会社勤務の経験があるシニアコンサルタントの間(はざま)をアサインできたことは、アドバンテージになったと思います。さらに、スケジュールに必ず間に合わせるため、いざというときでも対応できるように、複数スタッフでバックアップできる体制をとっていました
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株式会社AGSコンサルティング IPO1事業部
間 知典
アララ様のケースでは、審査途中で主幹事証券会社の担当者に人事異動がありましたが、私の前職が証券会社ということもあり、担当者のタイプを踏まえて対応を考えました。2020年は上場を取りやめる企業が多い年でしたが、アララ様では業績をしっかり達成されていたことも、スケジュールどおりにIPOが実現できた理由と考えています
お客様プロフィール

アララ株式会社
設立: 2006年8月
事業概要
・【キャッシュレスサービス事業】電子マネー管理、ポイント管理、会員管理、メール配信等を含む統合型販促パッケージ 「point+plus」、及びスマートフォン向けアプリ「クルクル QR コードリーダー」及びQRコード作成サイト「クルクル マネージャー」の開発・提供
・【メッセージングサービス事業】
高速メール配信サービス「arara メッセージングソリューション」の開発・提供
・【データセキュリティサービス事業】
個人情報検出・管理ソリューション「P-Pointerシリーズ」の開発・提供
・【その他の事業(ARサービス)】
Instagram及びFacebookで使用可能なARカメラエフェクト、ARプラットフォームアプリ「ARAPPLI」、及びAR施策に関わる企画・開発・提供
資本金 6億6,166万円(2021年8月時点)
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